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長期療養児の自立・コミュニティ創出支援事業「TEAMMATES」活動レポート【No.1】

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2022.07.05

千葉ロッテマリーンズに“入団”した、小学5年生の宇都宮幹汰くん。
契約会見を無事に終え、2022年6月25日に第2回の活動日を迎えました。

幹汰くんとご家族は、午前10時半にZOZOマリンスタジアムに到着。前回支給された“10 KANTA”の移動用のバッグを担ぎ、ユニホームを身にまとい、選手としての1日が始まります。
この日はホームゲーム開催日ということで、幹汰くんの予定は、試合前の練習見学、名鑑写真撮影、選手食堂での昼食、野球の技術練習、試合の応援。盛りだくさんの内容です。

厳しい暑さに見舞われた練習見学は、感染症対策と熱中症対策を徹底した上で行われました。
グラウンドに足を踏み入れた幹汰くんは、まず井口資仁監督のもとへ行き、帽子をとって礼儀正しく挨拶をします。笑顔で迎えた監督は、フリー打撃のケージの真後ろで、幹汰くんのために身振り手振り解説を始めました。ケージの中では藤原恭大選手と山口航輝選手が打球を飛ばしています。ネットを挟んで数メートルの距離で繰り返されるフルスイング。「選手の球の速さを間近で見るのが楽しみ」と会見で語っていた幹汰くんは、迫力満点の打撃を食い入るように見つめていました。

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その後、監督に先導され、幹汰くんはグラウンドを1周します。外野方向で練習をする投手陣に温かく迎えられ、森脇 浩司コーチによるノックの補助にも挑戦。合間には、益田直也投手、三木亮選手、中村奨吾選手、安田尚憲選手ら、たくさんの選手とグータッチを交わし、すっかりチームメートの関係を築いていました。
見学だけにとどまらず、参加することで練習風景に溶け込んでいった幹汰くんは、控室に戻ってご家族に活動を報告。とても充実した表情をみせていました。

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休憩をはさんだ後は、選手として欠かせない写真撮影に取り組みます。正面と斜め、ガッツポーズなど、マリーンズの名鑑撮影でおなじみの展開となりました。最初はとても緊張していましたが、カメラマンのリクエストに次々と応えていき、素晴らしい出来栄えとなりました。今後、球団発行の制作物に写真が掲載される予定です。

ここまでを終えたところで、幹汰くんに楽しいランチタイムが訪れます。「こんなに美味しいものを食べていたんだ!知らなかった!」と驚きながら、選手食堂にある栄養たっぷりのメニューを自ら選択します。佐々木朗希投手からコアラのマーチを手渡されるサプライズもあり、ご家族全員でのリラックスできる時間となったようでした。

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午後になると、いよいよ“選手”としてボールに触れます。その第一歩は、現在の技術レベルを確認し、ご両親とも話し合って練習方針を決める作業です。
担当したのは、マリーンズ・ベースボールアカデミー校長である武藤一邦さん。要所でしっかりと脈をとりながら、投げて、打って、様々な動きをチェックしました。武藤さんから投げる動作について高評価をもらっていた幹汰くんは、この日から野球ノートを付け始めました。
同じ室内練習場に打ち込みに訪れた角中勝也選手やレオネス・マーティン選手と笑顔を交わし、練習後は報道陣への取材対応も完ぺきにこなした幹汰くん。
たっぷりと汗を流し、クーリッシュを食べてひと休みした頃、ZOZOマリンスタジアムには試合開始の拍手が起こります。最後に客席へと移動し、チームメートとしてマリーンズを応援。第2回の活動は幕を閉じました。

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ご両親は、活動を始めてからの変化を明かします。
会見の模様がニュースになったことで大きな反響があり、マリーンズの一員となってからの幹汰くんは、選手のことを調べて覚えて、以前よりもさらに熱心に試合を見るようになったそうです。

お父様は「僕も本人も、現実と夢の世界を往復しているような感覚」と語るとともに、活動中の堂々とした姿については「入院中の賜物なのかなと思います。お医者さんや看護師さんと接する機会が多いので、大人に物怖じしない部分が生きているのかなと思いました。この特別な世界を体験して、今後、大人になっていく糧にしてくれたらと思います」と柔らかな表情で話しました。

お母様は「野球を始めたばかりなので、とにかく野球を好きになって楽しんでもらえるのが一番。この特別な環境は当たり前ではないので、感謝をもってやれるようになれたらいいなと思いますし、それはいつも声をかけるようにしています」と思いを口にします。さらに、「今までは『頑張れ』とみんなに応援してもらう側だったので、今度は応援する側になって、その気持ちも味わってもらえたらいいですね」と幹汰くんの今後に期待を込めました。

応援される側から、応援する側になる。それは、幹汰くん自身が会見で語った、「自分が頑張って応援することで、選手にやる気や元気を与えられるようなチームメートになりたい」という言葉につながっていました。

社会貢献プロジェクトの一環として、幹汰くんとマリーンズは出会いました。まだ序盤ではありますが、既に溶け込んでいるのには理由があります。活動中の幹汰くんは、その瞬間を楽しむだけでなく、全てを吸収して、どんなときも挑戦しています。臆せず前進していく姿は、同じマリーンズの“選手”として、チームメートの心を動かしています。

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文:長谷川美帆(千葉ロッテマリーンズ オフィシャルライター)

TEAMMATES とは?

球団の社会貢献プロジェクト「MARINES LINKS」は、認定NPO法人Being ALIVE Japanが企画・運営する「TEAMMATES(チームメイツ)」事業に参画しました。パートナー企業である株式会社リンクス・ビルドと共に、長期治療を必要とする子どもの自立支援とコミュニティ創出の支援をする、プロ野球界では初の取り組みです。
小学5年生の宇都宮幹汰くんは、急性リンパ性白血病で長期療養中です。2022シーズンが終了するまで、ZOZOマリンスタジアムやロッテ浦和球場で活動をします。

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